驕れるもの久しからず いや 後悔先に立たずかなぁ・・・・
1年ほど前に借地の売買のお手伝いをしたお話です。(特定できないように、実際の話とは少しだけ変えてあります。)
昔々、富山市のある場所に、ご両親が持っていた賃貸用のマンションがありました。
ご両親は息子さん(Aさんとします。)にその土地を与え、賃貸用のマンションを娘さん(Bさんとします。)に与えました。
息子さんはしっかりとした職についていて、裕福だったので、娘からは借地料をず~~~っともらわずその土地の固定資産税も払ってあげていました。
娘さんは、蝶よ!花よ!と育てられ、まともに働いたことも無く、そのマンションの賃貸料が主な収入源でした。(家賃だけで平均的なサラリーマン以上の収入がありましたが、 お兄さんの好意に甘え土地の税金を支払うことも有りませんでした。)
それから数十年が経過し、お兄さんのAさんが亡くなりAさんの奥様(Cさんとします。)がその土地を相続しました。
Cさんは専業主婦で収入が無かったので、住んでもいない土地の固定資産税は大きな負担です。 Aさんの1周忌が終わったころにBさんに相場よりも安くてもいいから地代を支払ってもらうか、この土地を購入して欲しいと、お願いをしました。
・・・・が、Bさんは元々私の両親の土地だったんだし、Aさんも私に支払えって言ってこなかったんだから、これからも支払う必要はない!し、購入する気もない!と突っぱねました。
何回かそのやり取りをして、心も体も疲弊してしまったCさんは、途方に暮れて当社に相談に来られました。
CさんとBさんは、ここまでこじれてしまっていてもやはり親族です。 できれば丸く収まった方がいいに決まっています。
当社としましては、もう一度だけBさんに丁寧な形で売却の意思確認をすることをお勧めしました。
但し、断った場合は第三者に売却しますよ!という最後通告とわかる文言を付けるようにアドバイスしました!!
すると、Bさんは購入すると言ってくれたそうです。 当社の利益にはならなかったけど「めでたし!めでたし! あ~~いいお手伝い出来た!」
(ここまでは無償でお手伝いしております。)
・・・・・・と思っていたら、後日Cさんからお電話が!
「約束していた契約日の前日にキャンセルされたんです!」とのこと。
詳しくお聞きするとBさんの知り合いの不動産をちょっとだけかじっている知り合いに
「借地なんて買うやついないから無理して買うことないよ! 放っておけば、あっちが音を上げて、タダ同然で手に入るよ!」というようなことを言われて、それを信じて土壇場で
キャンセルしたらしいのです。
これにはCさんも怒りました! ここまでBさんを尊重し、優先してきたのにこの仕打ち!
そこで再度当社が登場して、借地を専門に取り扱っている東京の不動産会社とC様の間に入り、その借地を購入してもらいました。
借地だろうとなんだろうと宅地である限り、当社に売れない土地はありません!(笑)
そして、現在に至ります。 地代を支払っていないにもかかわらずCさんが1年以上何も言ってこないことを変に思ったのか、
どこからか、この土地の所有者が変わったことを聞きつけたBさんがCさんに電話し、Cさんから当社の存在を聞いて当社にアポイントもなく押しかけてこられました。
そして、いきなりこんなことを言われました。
「私の許可もなく勝手に土地を第三者に売ってしまわれて困っている!」
「買い戻してあげるから所有者と交渉して! でも、お金はそんなに出せないから安くしてくれなきゃ困る!」だそうです。
ご自分が置かれている状況がまだわかっておられないようです・・・・・・・。
現在の所有者のご連絡先だけお教えして。これ以上は当社にできることはないとご説明し、お帰り頂きました。
Bさんには申し訳ないですが、今からこの土地を買いとろうとしても以前にBさんが提示していた金額の何倍もの金額を提示されるはずです。(ビジネスですから当然です。)
そして今までこの土地に地代を全く支払っていないので、Bさんは、単なる「使用貸借」となります。 Bさんが新所有者に対して対抗できる権利はほとんどありません。
詳しい説明は省きますが、使用貸借の場合は、地代を支払っている借地権の借地人とは立ち位置が全く違います。
何度も言いますが、無償での「使用貸借」は、第三者には適用されないので、最終的には建物付き(もしくは建物を壊して)で土地を所有者に明け渡すしかありません。
この土地を購入した借地専門の不動産会社さんは、今後裁判所に、勝つことがほぼ決まっている「土地の明け渡し訴訟」を起こしてくるものと思われます。
Cさんの切実な願いを聞き入れず、Cさんを軽んじ、ろくな不動産知識もない人間のアドバイスを信じたツケが一気に取り立てられるのです。
今回のことで私はこれらのことわざを思い出しました。
「驕れるもの久しからず!」 「生兵法は大怪我の基(なまびょうほうはおおけがのもと)」 「後悔先に立たず!」
さて、どのように決着するのでしょうね?
令和4年6月28日 ViVi不動産株式会社 矢郷修治