不正アクセスへの怒りと、中小企業の「攻め」としての守り
数日間、守りの仕事ばかりしていました
富山で不動産会社を経営しています。ここ数日、本業そっちのけでセキュリティ強化の作業に追われていました。肩は凝るし、目は痛くなるし、正直うんざりです。
しかもこの作業は、誰かの悪意がなければ本来やらなくていい仕事です。そう思うと、「不正アクセスをする連中なんて、ろくな人生を送らなければいい」と恨み言の一つも言いたくなりました。
「国が外貨稼ぎにハッキング」は噂ではなかった
「国が主導して、外貨獲得のために不正アクセスをしている」という話を耳にしました。調べてみると、これは単なる噂ではありません。
特に北朝鮮については、国連安保理の専門家パネルや米国FBIなどが、国家ぐるみのサイバー攻撃や暗号資産の窃取を繰り返し報告しています。日本の暗号資産取引所の被害について、北朝鮮系グループの関与を警察庁が公表した例もあります。
国が組織的に泥棒をしているとしたら、本当に情けない話です。同時に、相手は個人のいたずらではなく組織化されたプロだということも、肝に銘じておく必要があります。
「こちらも攻撃を」と考えたけれど
守るだけでなく、攻撃する方法も考えないといけない時代なのか。一瞬そう思いました。しかし、民間企業が反撃するのは筋が悪いと分かりました。
- 法律違反になる:相手が攻撃者でも、こちらから相手のシステムに侵入すれば不正アクセス禁止法違反です。被害者のはずが加害者になります。
- 相手が本当の犯人とは限らない:攻撃元に見えるサーバーの多くは、乗っ取られた無関係の第三者のものです。
- 勝ち目がない:国家レベルのプロ集団に挑めば、かえって標的として目を付けられます。
悔しいですが、やり返すのは警察や国の仕事です。被害や兆候があれば、都道府県警のサイバー犯罪相談窓口やIPA(情報処理推進機構)に報告することが、私たちにできる「反撃」だと考えることにしました。
中小企業の「攻め」は、狙われにくい会社になること
攻撃者は効率を重視します。守りの固い会社は後回しにされ、手薄な会社から狙われます。つまり中小企業にとっての攻めとは、「狙う価値のない相手」になることです。
具体的には、次のような地味な対策の積み重ねです。
- 二段階認証を全員に徹底する
- パスワードを使い回さない
- 不要になったアカウントや公開設定を放置しない
- 怪しいログインや動きにすぐ気づける状態にしておく
どれも派手さはありませんが、確実に効きます。
AIと一緒に、二段階認証を自作してみた
実は私、AIのClaude(クロード)を使って社内の業務ツールを自分で作っています。プログラマーではありません。不動産屋の社長です。
今回のセキュリティ強化の中で、自作した社内ツールにも二段階認証の仕組みを組み込みました。パスワードだけでなく、もう一段階の確認を通らないと入れないようにしたのです。
やってみて驚いたのは、意外と簡単にできたことです。
「こういう仕組みを入れたい」と日本語で相談すると、AIが作り方を考え、手順を一つずつ教えてくれます。分からないところは「なぜそうするのか」まで聞き返せるので、仕組みも理解しながら進められました。
以前なら専門業者に頼むしかなかったことが、今は経営者自身の手で形にできる時代です。守りの仕事は面倒ですが、自分の手で一枚ずつ扉を増やしていく感覚は、少しだけ痛快でもありました。
なお、GoogleやChatworkなど普段使っているサービスには、たいてい二段階認証が標準で用意されています。まずはそれをオンにすることが、一番手軽で効果の大きい第一歩です。
怒りは、守りを固める力に変える
不正アクセスへの怒りは今も消えていません。ただ、その怒りを反撃に向けても得るものはありません。向けるべき先は、自社の守りを一段ずつ固めることです。
同じように「うちは小さい会社だから狙われない」と思っている経営者の方こそ、今日一つだけ動いてみてください。二段階認証をオンにする。それだけでも、攻撃者にとっての「おいしい相手」から外れることができます。
そして作業の合間には、画面から目を離して肩を回すことも忘れずに。守りの仕事は長期戦です。
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(作成日:2026年10月24日)
ViVi不動産株式会社 代表取締役社長 矢郷修治



