社長ブログ

相続放棄という選択肢

ご相談事例〜相続放棄という選択肢〜

こんにちは。ViVi不動産株式会社の矢郷です。

今日は、以前お取引をいただいたお客様から実際にご相談いただいた**「相続不動産と相続放棄」**について、リアルなケースをご紹介しながら、注意点や具体的な流れを解説していきます。

 

 

今回のテーマは、

相続財産がほぼ不動産だけ、しかも売却しても解体費用を考えるとマイナスになってしまう。 こんなとき相続放棄はできるのか?

という非常に悩ましい問題です。

 

 

相談内容の概要

今回ご相談くださったのは、数年前に中古戸建を購入いただいたK様。 K様は、ご兄弟さん(以下、Pさんとします。)が亡くなられました。 県外にいるPさんの奥さんと子供は何もわからずKさんに従うとのこと。  Kさんもどうして良いかわからず当社にご相談に来られました。

 

お話を聞くと、そのPさんの財産はというと、郊外にあり築古で解体必須な空き家と、その敷地のみ。(隣地に田んぼも有り)

不動産以外の預貯金や資産はほとんどありませんでした。

しかもこの空き家、調査してみると

  • 土地として売却してもせいぜい500万円程度の価値
  • 売却費用や解体費用は合計で600万円以上かかる見込み

つまり、マイナスの不動産だったのです。

 

K様は「今まではPさんが入院している間は私が草刈りしたり、空家の管理をしてきたけど、どんどん年を取ってキツクなってきている・・・。 でもご近所に迷惑を掛けるのも申し訳ない・・・。 なんとかいい方法はないのか??」とご相談に来られました。

 

そこで私が勧めたのは「相続放棄」でした。

 

相続放棄とは?その方法と手続き

相続放棄とは、最初から相続人でなかったことにする制度です。

正しく手続きをすれば、

  • 不動産も負債も一切引き継がずに済みます。

相続放棄の手続きの流れ

  1. 被相続人(亡くなった方)の最後の住所地を管轄する家庭裁判所へ申述
  2. 家庭裁判所に**「相続放棄申述書」**と必要書類を提出
  3. 事情聴取や追加書類の提出(必要に応じて)
  4. 問題がなければ「相続放棄受理通知書」が届く

これで正式に、相続放棄が成立します。

必要書類

  • 相続放棄申述書
  • 亡くなった方の戸籍謄本(除籍謄本)
  • 自身の戸籍謄本
  • 収入印紙(800円)
  • 郵便切手(裁判所ごとに異なる)

費用感

  • 収入印紙:800円
  • 郵便切手:数百円程度
  • 弁護士や司法書士などに依頼する場合:約5万円~10万円程度(書類作成+申述代行 相続放棄する人数によって変動します。)

自分でやれば1,000円未満で済みますが、手続きに不安がある場合は専門家に頼むのも一つの手です。

★今回はK様が被相続人の奥様、娘さん、被相続人の兄弟3人分の相続放棄をしたいということで約20万円という見積もりでした。

 

相続放棄には期限がある

相続放棄には厳格な期限があります。

  • 相続が開始したこと(亡くなったこと)を知った日から3か月以内

この「知った日」というのがポイントで、

  • 亡くなったことを知らなかった場合 → 知ったときから3か月カウント開始

となります。

3か月を過ぎてしまうと、原則、相続放棄はできません。なので、通知を受けたらすぐに動きましょう。

 

被相続人のお金で葬儀をしたけど相続放棄できる?

K様からはさらにこんな質問もありました。

「叔母のお金で葬儀を手配してしまったんですが、もう相続放棄できないのでしょうか?」

これ、実はとてもよくある質問です。

結論から言うと、

  • 相続放棄は可能とされています。

つまり、まだ相続放棄は可能です。

最高裁判所も過去の判例で、

  • 葬儀の実施は社会的義務にすぎず、相続財産の処分にはあたらない

と判断しています。

もっと詳しく説明すると、

被相続人の財産を使って葬儀費用を支払った場合でも、その金額が社会通念上「特別に高額すぎる」というものでなければ、相続を承認したとはみなされず、相続放棄は可能とされています。
なぜなら、葬儀は相続手続きとは別に、亡くなった方を偲び、送り出すために遺族が当然行う社会的な儀式と考えられているからです。

つまり、一般的な範囲の葬儀費用であれば、問題なく相続放棄ができる可能性が高いということになります。

ただし注意点として、葬儀費用の支払いにとどめ、不動産の売却活動を始めたり、遺品整理を勝手に行ったりしないことが絶対条件です。

 

 

相続放棄をする前に絶対にしてはいけないこと

前項でも述べましたが、相続放棄をしたいなら、次の行動は絶対にしてはいけません

1. 相続財産に手を付ける

  • 預金を引き出して使う
  • 家を勝手に売る、貸す
  • 遺品を勝手に処分・売却する

これらはすべて、相続財産の処分=相続を承認したとみなされる可能性があります。

一度でも単純承認と見なされると、もう相続放棄はできません。

 

2. 不動産に住み始める

不動産に引っ越して住んだり、管理を始めると、こちらも相続したとみなされるリスクがあります。

 

3. 相続財産の名義変更手続き

預金解約や不動産の名義変更(相続登記)をしてしまうと、相続を承認したと判断されます。

名義変更は「相続する意思あり」と見なされるので、絶対に避けてください。

 

相続放棄後に起こること

相続放棄をすると、自分は最初から相続人でなかったことになります。

すると、次の順番で他の相続人に権利が移ります。

  1. 同順位の相続人
  2. 次順位の相続人(兄弟姉妹など)
  3. さらにその子ども(甥・姪)
  4. 最後に国庫(国が引き取る)

つまり、自分が放棄しても誰かが引き継ぐことになります。

★今回のご相談の場合は、Kさんは被相続人のご兄弟なのですぐには相続放棄が出来ません。 まずPさんの奥さんと娘さんが相続放棄をして、その後に相続放棄をすることになります。

 

まとめ 〜早めの相談と判断がカギ〜

今回ご紹介したK様のケースでは、

  • 葬儀代の支払いは問題なし
  • 財産に手を付けていない
  • まだ相続開始から3か月以内

ということで、無事に相続放棄を進めることができそうです。

 

相続放棄は時間との勝負です。放置してしまうと、あっという間に期限が来てしまい、不要な負債まで背負うことになりかねません。

不動産が絡む相続では特に、

  • 売れない不動産
  • 負債付き不動産
  • 管理義務が発生する不動産

など、マイナス要素を抱えるリスクも少なくありません。

 

「これは引き継ぐべきなのか?」「放棄すべきなのか?」

迷ったら、ぜひ早めに専門家へご相談ください。 私たちも、不動産を中心に相続問題に詳しいチームでサポートしております。(相続財産、特に不動産部門においてプラスになるのかマイナスになるのかを判断いたします。)

 

最後までお読みいただきありがとうございました。

 

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令和7年4月27日

ViVi不動産株式会社 矢郷修治