空き家対策の新たな報酬規定について
こんにちは、ViVi不動産株式会社の矢郷です!
今回は国土交通省が提案している「宅地建物取引業者が宅地または建物の売買等に関して受けることができる報酬の額」の一部改正について解説します。
この改正は、増加する空き家問題に対応し、地域活性化を図るための重要なステップとなるものです。
少し難しい内容かもしれませんが、わかりやすく説明していきますので、ぜひ最後までお読みください。
改正の背景
まず、今回の改正の背景についてお話ししましょう。
日本では近年、使用目的のない空き家が増え続けています。この問題に対処するために、2014年に「空家等対策の推進に関する特別措置法」が施行されました。
この法律は、空き家の活用や管理を促進するためのもので、昨年12月に一部改正されました。
さらに、2023年7月に新たな国土形成計画が閣議決定されました。この計画では、空き家を活用して地方への移住や二地域居住を促進し、地方への人の流れを創出・拡大することが目指されています。このように、空き家の有効活用が今や喫緊の課題となっており、不動産業界にもその役割が期待されています。
改正の概要
今回の改正案では、特に低価格の空き家に関する売買や貸借の媒介・代理に関する報酬規定が見直されています。
それでは、具体的な改正内容について見ていきましょう。
1. 低廉な空き家の売買・交換の媒介における特例の改正
低価格の空き家の売買や交換の媒介に関する報酬の特例が改正されます。ここで言う「低価格の空き家」とは、売買代金が800万円以下の宅地や建物のことを指します。従来の規定では、宅地建物取引業者が受け取る報酬額は一定の計算方法に基づいて算出されていましたが、改正後はその額を超えて報酬を受け取ることが可能になります。
具体的には、依頼者から受け取る報酬の額は最大で30万円の1.1倍に相当する金額まで認められるようになります。これは、媒介に要する費用を勘案した結果です。
(噛み砕いていうと、最近の不動産は調査内容が多い上に、ライバルの売り物件が多く存在するため広告費用もかかります。
せめて、売主さん、買主さんの両方から最低33万円の手数料ぐらいもらわないと、不動産会社は赤字になってしまう可能性が高く、それがだめなら元々その案件は引き受けられない(お断りする)状態に陥っていたということです。
それぐらい地方の不動産会社は(空き家に)追い詰められていたということですね。 ★首都圏の高額物件ばかり取り扱っている不動産会社さんにはわからないでしょうけれど・・・・・)
2. 低廉な空き家の売買・交換の代理における特例の改正
次に、低価格の空き家の売買や交換の代理に関する特例も改正されます。宅地建物取引業者が代理業務を行う場合、依頼者から受け取る報酬の額は、媒介に関する特例で算出された金額の2倍以内とされます。ただし、取引の相手方からも報酬を受け取る場合、その合計額が特例で算出された金額の2倍を超えてはならないと定められています。
3. 長期の空き家の貸借の媒介における特例の創設
新たに創設される特例として、長期間使われていない空き家の貸借に関する報酬の規定が設けられます。
長期間空き家となっている物件の貸借の媒介について、宅地建物取引業者は、借主から受け取る報酬の額が賃料の1ヶ月分以内(居住用の場合は0.5ヶ月分以内)である場合に限り、その額を超えて報酬を受け取ることができるようになります。ただし、合計で賃料の2ヶ月分までが上限とされます。
4. 長期の空き家の貸借の代理における特例の創設
同様に、長期間使われていない空き家の貸借の代理についても特例が設けられます。
宅地建物取引業者は、貸主から受け取る報酬の額を、賃料の2ヶ月分までとすることができます。ただし、相手方からも報酬を受け取る場合、その合計額が賃料の2ヶ月分を超えてはならないとされています。
5. その他の規定
上記の改正に伴い、関連する規定も整理されます。媒介契約を結ぶ際には、上記の報酬の上限について依頼者に説明し、合意を得る必要があることが明記されます。
今後のスケジュール
この改正案は2024年6月中に公布され、同年7月1日から施行される予定です。これにより、空き家の有効活用が一層進み、地方の活性化が期待されます。
まとめ
今回の改正は、不動産業界にとって大きな変化をもたらすものです。
特に低価格の空き家や長期間使われていない空き家の取引において、より柔軟な報酬体系が導入されることで、空き家問題の解決に向けた一歩となるでしょう。
皆さんもぜひ、この改正の趣旨を理解し、空き家の有効活用に積極的に取り組んでいただければと思います。空き家問題は私たち全員の課題です。地域社会の活性化に向けて、共に頑張りましょう!
★当社もこの改正には大賛成です。 7月になれば積極的にこの制度を利用しようと思っています。 この改正に同意できない売主様・買主様には残念ながら他の不動産会社を選んでいただくしかありません。 (だって、昨年の当社の仲介部門は低廉な価格の不動産の取引が多かったにもかかわらず、細かい調査、積極的な広告、クオリティを落とさない丁寧な資料作りを継続していましたので、仲介部門単体で考えると「大赤字」でした・・・・)
最後までお読みいただき、ありがとうございました。次回のブログでも、最新の不動産情報をわかりやすくお届けしますので、お楽しみに!
令和6年6月15日
ViVi不動産株式会社 矢郷修治