社長ブログ

商売上手? そこまでやる?

 

本日は富山市にある分譲マンションの公図の写真からスタートさせて頂きます。

 

こちらの分譲マンションの所在地は「富山市○○○字○○5番33」です。

 

よ~~~~~く見るとその中に小さな土地(5番33)が存在しています。 この土地の所有者は分譲マンションを当初分譲した会社のグループ会社の名義になっています。 面積なんとたった7㎡

 

今回、こちらのマンションを売買することになって、「気づかされた」分譲マンションを売っても

そのマンションで永続的に儲け続ける「エグイ」仕組みをご紹介させて頂きます。

 

 

さて、ここで問題です。  この「5番33の土地」はなぜ存在すると思いますか???

 

ヒントは皆さんが疲れた時に入って癒される「アレ」が関係しています。

 

 

これでピンときた方は、すごい!! 商売人の資質アリアリです。

 

 

 

答えは「温泉の権利」のため!

 

 

 

こちらの富山市にある分譲マンションは、自宅で温泉に入れるマンションとして有名です。

 

この温泉の権利、実は、区分所有者やこのマンションの管理組合の権利ではなく、分譲したマンション業者のグループ会社の権利のまま残されているのです。

 

管理規約を詳しく読み込んでみるとこうなっていました。

(要約)

 

・管理組合は権利を持つ〇〇会社に温泉使用料として月30万円を支払う。

 

・温泉使用料は2年ごとに改訂し値上げ額は2年ごとに6%とする。

 

・管理責任、施設の維持管理は管理組合が行う。

 

・温泉が出なくなっても所有者は一切の責任を負わない。

 

おおっ!  このマンション築20年程度ですが、この規約通りに温泉の権利使用料金が値上げされているとすると、2年ごとに6%上げていくと、規約通りだと今では

月額46万5千円也!(賃上げ上昇率なんと55%) 

年額だと約430万円もの支払いになります。 このマンションの世帯数は約150世帯なので一人年間29000円程度も分譲会社に上納させられていることになります。

そして、温泉を汲み上げる手間も機械や施設の維持管理は全て管理組合の責任。 なんにもしてないのにお金だけが延々とチャリンチャリン入る仕組みです。

 

エグイっ! いやいや言葉を訂正致します。  よっ! 商売上手!  

 

区分所有者から集めた管理費を管理組合がどこに支払っているかなんて区分所有者の皆さんの中でちゃんと見ている人なんてごく僅か!

富山県民なんていい人ばかりだから「きっと良くしてくれとっちゃ!」的な考えで疑うこともしません。

 

自分たちのマンションの敷地から湧き出ている温泉だから自分たちのものだと思っていることでしょう・・・・ しかし、事実は違います。

 

わずか7㎡の土地の権利だけ売らずに残し、区分所有者たちから永続的に温泉使用料を徴収し続けているのです。

まさに、定額制サブスクリプション(subscription)サービス! 

 

こんなエグイやり方、思いついてもなかなかしないですよね!(笑)

 

今回売買するにあたって、現在の温泉使用料をちゃんと調べておかないと買主様に説明できないので、調査したところ規約通りの値上げはされておらず月額20万円チョットに値下げされていました。(区分所有者の中にこのカラクリに気づいた人がいて猛抗議したのかもしれませんね。)

 

それでも、年間240万円超のお金が管理費の中から分譲マンションのグループ会社に流れてしまっていることになります。

 

中古マンションの売買の仲介をしていると、(新築マンションを売るための)マンション分譲業者の儲けるカラクリをいろいろ発見します。 

例えば、

・10年後20年後の管理組合運営のことを考えていない異常に安い設定の修繕積立金や駐車場使用料。 

・10年後、20年後に修繕に多額のお金がかかることが分かり切っているタワー型駐車場の設置と

(その維持管理費を賄うことが出来ない)前述のように安い設定の駐車場使用料。

・屋上にプールやゴルフの打ちっぱなし練習場を作ってゴージャス感を出したけど、維持費がかかって放置されたままの施設

・築10年ごとに区分所有者から管理基金50万円を徴収する規約にしてたり、区分所有者が変わるごとに管理基金(10~30万円)を徴収する規約を設定して

当初の管理費や修繕積立金を安く見せかけるマンション。  などなど。

 

修繕積立金などの新築時の設定金額の安さは10年以上前から指摘されていたのですが、なかなか改善されなかったので

「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」が昨年の令和5年4月に改訂されました。

詳しく知りたい方はコチラ https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/content/001600153.pdf

 

修繕積立金に関しては、このガイドラインが出来たことでだいぶん改善されるとは思いますので今後新築マンションを購入する方は、長期修繕計画を見て管理費や修繕積立金の金額の値上がりの予定もしっかり頭に叩き込んで購入を検討したらよいと思います。  分譲時のゴージャスな施設はそれが長期にわたって使用できる体制が整っているか?維持費がプールされる形になっているか調べるべきです。

 

それにしても、源泉地の土地の所有権と源泉の所有権をグループ会社の名義のままにするって、すごいなぁ・・・・・

そのお金で、「あの」CMで有名な奥様はゴージャスな帽子を(温泉だけに)ジャブジャブ購入しているんでしょうね(笑)

 

令和6年3月30日

ViVi不動産株式会社 矢郷修治