社長ブログ

孤独死による相続登記の文言

 


孤独死による相続登記の問題と不動産価値への影響

近年、高齢化社会を迎えた日本において、孤独死が社会問題として注目されています。特に、独り暮らしの高齢者が亡くなるケースが増え、その影響は不動産業界にも及んでいます。

 

孤独死と相続登記の問題

孤独死が起こると、被相続人(亡くなられた方)の死亡時期が明確でない場合があります。この場合、現状では相続登記した時に所有権移転夫事項の相続の記載欄に「推定」という文言を入れる必要が生じます。

これは、被相続人が自然死ではなく事故や孤独死で亡くなった可能性があることを示唆し、遺族の心情に配慮が足りないという問題があります。

 

不動産価値への影響

また、室内で孤独死が起こった不動産は、しばしば「事故物件」として扱われ、不動産の価値が下がることがあります。

これは相続人や不動産業界にとっても大きな課題であり、孤独死による不動産価値の減少をいかに防ぐかが重要なポイントです。

 

自然死と不動産取引:国土交通省ガイドラインの影響

この問題に関して、国土交通省が発表した新ガイドラインは、不動産取引における死亡事案の扱いに新たな光を当てています。

ガイドラインの概要

このガイドラインでは、自然死や日常生活中の不慮の死に対して、特殊清掃などが無かった案件は不動産取引時の借主や買主への

告知義務がないと明確にされています。 これは、今後の賃貸借や売買取引において重要な指針となります。

国土交通省の新ガイドライン

不動産価値への影響

告知義務の緩和は、自然死などが発生した物件の価値低下を防ぐ効果が期待されます。これにより、事故物件としてのレッテルを避け、遺族のプライバシー保護にも寄与すると考えられます。

 

相続登記の文言の問題

不動産業界では上記のように告知する案件に対してのガイドラインが出来て、少しずつ浸透しつつあるのですが、相続登記においては一律の対応が未だになされています。

 

私は現在、孤独死された被相続人の自宅売却をお手伝いしているのですが、相続登記において孤独死なされた被相続人のかたがいらっしゃる場合は、先ほど申し上げたように相続の欄に「推定」の文言が入ってしまうのです。

これだと、告知義務が無い物件なのにもかかわらず、借主や買主に邪推させてしまう恐れと、不動産価値の低下、場合によってはトラブルを生む原因を作ってしまいます。

 

そこで、私は、「推定」の記載を避ける方法を司法書士と共に検討して、富山法務局に交渉してもらっています。

これは、遺族の心情を考慮し、同時に不動産価値を守るための試みです。

もしも、上手く行ったらまたご報告させて頂きたいと思いますが、片田舎の富山から変えていくのはとても難しいこと。

1回では上手く行かないかもしれませんが、ゆくゆくは宅建協会や司法書士協会を巻き込んで、いつかは変えられるようにしたいと思います。

 

令和6年1月22日 ViVi不動産株式会社 矢郷修治