時間がかかっても高く売りたい。
当社でもインターネットの「不動産一括査定」サービスに登録しておりまして、そのサービスから「不動産を売りたいお客様」からの問い合わせを頂いております。
そのお客さからの要望で一番多いのが「時間がかかっても高く売りたい!」というご要望。
もちろん、私達も高く売れた方が、仲介手数料も多くもらえることになるので、そうなればとってもありがたいのですが、
現実は「時間はかければかけるほど当初より安い価格でしか成約しないことがほとんど!」です。 (高値で売れる物件は、高値で売り出しても最初の1か月で売れていきます。それ以上出していてもほとんどが時間の無駄です。)
なので、最初の1~2か月は希望の高い価格で売り出してもいいとは思うのですが、3か月経過しても相場より高い価格で売り出すことはお勧めしません。
長期間売り出されていれば、不動産を探しているお客様も「あっ! この不動産まだ売れてないんだ。 やっぱり高いんだよな。 なんかやめとこ。」と、
なります。
時間をかければかけるほど不人気の不動産だと認知されてしまって、その頃には相場価格に下げても後の祭り、みなさん疑心暗鬼になって、誰も近寄らなくなってしまいます。
当社の経験でお話ししますと、ここ数年の事例ですが、6か月以上かかって売却が決まった不動産の成約価格のほとんどは、当初の査定価格か、それを下回ってしか成約しません。
(その上、売却できるまでの固定資産税や住宅ローン、マンションの場合は管理費の支払いの負担は全て売主様持ちなのでいろんなとこで損をしています。)
そんなに世の中上手くはいかないのですねぇ・・・・
当社の営業スタッフも含めて、どの不動産会社も、人気エリアの不動産の売却のお手伝いは欲しいですから「時間がかかっても高く売りたい!」
というご要望を強く押し出すお客様にはこの文章に書いたような説明はしっかりしません!
なぜなら、正直に説明したって「高値で売りたい人は高値で売ってみたいのです。」(当たらないと分かっている宝くじを買うのと一緒ですね(笑))
そして、お金に目を奪われてしまって、自分の意に沿わないプロの意見なんて聞きたくなっていることが多いんですよね・・・・
だから、そういうお客様には、営業マンは「高値で売却できるよう頑張ります!」としか言えません。
実際に長期難売り出してみても反響は無く、半年、1年経過してやっと値下げするしかないことを身をもって経験してから初めて
「早く値下げして売っておけば、維持費用もこんなにかからなかったし、こんな価格を下げなくて済んだのに・・・!」と、いわゆる「後悔先に立たず」状態になるのです。
そうやって、受託した不動産会社も、最初は一発逆転狙って広告をしてくれますが、数か月も経過すると、全く反響が無い不動産にず~~~っと広告費をだらだらかけるわけには行きませんから不動産会社は、売り出し価格を大幅に下げない限り、段々と広告費もかけてくれなくなってきます。(価格を10万円とか20万円とかと小幅に下げるのは悪手です。全く反響は変わりませんから。)
「不動産一括査定」サービス自体に、「時間がかかっても高く売りたい!」というアンケート項目があること自体が、お客様に「もしかしたら時間をかければ高く売れるのかも??」と、変な期待をさせてしまっている原因かもしれませんが、
現在のように不動産価格が右肩上がりではない時には、売り出してから3か月程度で売れるような価格設定(1か月目は高め価格 2か月目は少し高め価格 3か月目は相場の価格というような感じ)が好条件で売却を成功させる秘訣です。
あまり人気のないエリア(富山市郊外など)の不動産を「時間がかかっても高く売りたい!」というご要望を出してしまうと、
どこの不動産会社もまじめに取り合ってくれなかったり、売却の依頼自体を受けてくれないという最悪の事態もあり得ますので、欲を出すのは「ほどほどに!」ですね。
(不動産仲介は、成功報酬制度なので、不動産会社は、郊外の成約価格が安い価格の物件を高値で売り出して、広告費をだらだらかけて、決まっても少額の手数料しかもらえないこと(場合によっては成約しても広告費と人件費を考えると赤字になります。)を何より回避しようという防衛反応が強くあります。)
本日は売主様にちょっと厳しめの耳の痛いお話をしてしまいましたね・・・ 申し訳ありません。
当社の営業スタッフにもお客様には、メリットも、言いにくいデメリットもちゃんとお話しして、理解してもらって、それからお客様に判断してもらう状態を作れる
営業マンになって欲しい! という思いから書かせて頂きました。
あっ!富山市で言うと、「富山駅前周辺エリア」と「芝園小学校エリア」「富岩運河エリア」「中心部エリアの戸建て・マンション」は「超」が付く人気エリア&物件なので話は別です。
高値でも売れてしまう可能性充分ありますのでバンバン高値で売り出すべきだと思います!(笑) 結局は「需要と供給」で決まるのです。
令和4年12月17日 ViVi不動産株式会社 矢郷修治